料金のコンセプト(法人)

弊事務所では、基本的には法人のお客様の月次報酬は、
「ノウハウ報酬」+「作業量報酬」で構成されるものと考えています。

顧問料はなぜ分かりづらいのか

 「会計事務所の報酬はわかりづらい」という話をよく聞きます。
 これは、税理士業がサービス業という「無形の商品」を取り扱う業種であることが原因でもあります。お客様も経費としての必要性は認めながらも、「専門性が高いサービスなので、自分では何をしているのか分からない」「良いサービスなのか、悪いサービスなのか判断ができない」ままに、顧問料を支払っているという方もいっらっしゃるでしょう。「自計化(会社のPCで経理処理)をはじめたのに、何故報酬が変わらないのか」と嘆いていらっしゃる方もいるかもしれません。

 一方、会計事務所の方でも「当初と作業内容が違ってきているのでに何故毎月同額なのか」「作業量は変わらなくても、指導業務や相談業務が多く報酬に見合わない」などと考えているところもあるのではでしょうか。
 これは両者の不満の原因は、普通に考えれば「作業報酬とノウハウ報酬が混在しているから」と言えます。


わかりづらい理由は「作業報酬」と「ノウハウ報酬」が混在しているため

 市販の書籍で税理士の報酬を次のように分析しているものがあります。


 およそ士業の行う仕事というものは、すべて「代行業」であると言われます。例えば、税理士であるならば、申告は納税者が自分で行えば済むわけです。それでも「代行業」にお願いするというときには大きく2つの理由があるものと考えられます。
① 労務節約型…やろうと思えば自分でもできるが、時間とコストを節約したい。
② 専門職依頼型…やろうと思うと勉強や情報収集が必要。生半可な知識ではリスクがある。
 ①については、家事代行サービス、②については弁護士など法律サービスなどが挙げられます。

 税理士がカバーする仕事については、実際には「労働節約型」的なものもあれば、「専門職依頼型」的なもののあります。上図を利用して、スキルの程度(一般的スキル~専門家のノウハウ)、現実の数値等を用いるかにより区分すると次の4区分に分けられると思います。
「A」税理士業務の独占業務対価
  …「専門家ノウハウ使用」「レギュレーション業務」
「B」顧客側作業の代替労働対価
  …「一般的スキル使用」「レギュレーション業務」
「C」将来税務コンサル…「専門家ノウハウ使用」「シミュレーション業務」
「D」将来経営コンサル…「一般的スキル使用」「シミュレーション業務」

「B」の領域については「お客様と会計事務所」のコンセンサスが大切

 「A」の仕事は、税理士法で税理士のみができる業務として特掲されているものです(税理士法2条の業務)。税理士の側からみるとお客様ご自身で行うのは少し厳しいのでは…と思っている業務です。お客様の側からみれば、税法の申告義務や納付義務を果たすために依頼した業務ですので「レギュレーション業務」といえます。税務代理、税務書類の作成、税務相談などのサービス領域です。ただし、税理士の専門的なノウハウを用いる領域と考えるのでとであれば、税理士法の「独占業務」の範囲よりも広い業務が想定されるかもしれません。

「B」の仕事は、税理士法2条では「付随業務」として掲げられている業務で、税理士が行うことも想定している業務です。ただ「A」のように「独占業務」ではありませんので、税理士以外の職種の方が行っても構わない業務となります。税理士の側から見ても、それほど高度なスキルは要求されていないな―と感じる領域です。また、お客様の側から見れば、会社法上の計算書類作成や税法上の記帳義務などを果たすために依頼する業務ですので、「レギュレーション業務」といえます。一般的には記帳代行、給与計算業務などが挙げられます。

 ただこの「B」の領域にも、使用スキルの濃淡があって、「A」のようなノウハウを使用するケースも多々あります。例えば、記帳代行は、科目の入力程度のことは純然たる「B」と考えられますが、税務証憑としての帳簿を作成するとなれば、税法に則った判断や処理の相談が出てくるわけで、従来から会計事務所業界では「A+B」を区別しないで顧問料としてまとめて報酬を頂いていた訳です。

 ですから「自計化したのに報酬が下がらない」というお客様の不満は、会計事務所の立場でいえば、「手の仕事」「目の仕事」「頭の仕事」のうち、自計化で省略できるのは「手の仕事」だけで、他の仕事は相変わらずあるのです―ということになります。このような齟齬がないように「B」の領域については、どこまでがお客様が行って、どのような内容の仕事を会計事務所が行うかというコンセンサスが大切となります。

 「C」「D」については「シミュレーション業務」ですので、「特注業務」といえます。従って、個々の事情により内容・報酬の考え方も変わってきます。成功すれば非常に付加価値の高いものとしてお客様にも喜ばれますが、「レギュレーション業務」に比して仕事の効果が見えずらい部分もあり、成果物がハッキリしない状況では不満を残しがちの業務領域となります。


お客様が「会計事務所に何を期待しているのか」教えてください!

 弊事務所では、お客様とのご契約の前に、まずお客様が上記「A」から「D」の何を会計事務所に期待しているかお伺いしたいと思っております。それは特にハッキリとしたイメージがなくても構いません。
 例えば基本的には「A」と「B」の仕事をお願いするとしても、「C」や「D」もFEEが高くない範囲で考えて頂きたいということであれば、お話し合いのうえ、そのような「時間枠」を設ける報酬設計を致します。反対に、お客様が「B」の領域はすべて自分でこなすということならば、私共は「A」の領域のみでご支援させて頂きます。

 ただ、通常のケースであれば、お客様とお付き合いが始まれば、私共もお客様の業界のことを勉強して、業界特有の税務会計知識を獲得・維持し、最新情報のメンテナンスを行わなければなりません。これを作業量とは比例しない固定的なもの―「ノウハウ」の対価と考えました。お客様にとっては気軽に相談できる「時間枠」を確保していると思って頂きたいです。この報酬は何を基準とするかは悩ましいところですが、幣事務所では「売上規模」と考えました。やはり、ビジネスの大きさにより、経営者様とのご質問・相談や日常解決すべき課題の難易度が変わってくることは否めないと考えたからです(大きなビジネスの会社様とお付き合いする際には、私共もそれなりの知識・情報を仕入れなければならないということです)。

一方で、これと異なるものとして記帳代行等は「作業量報酬」と考え、作業単価に比例する形の報酬形態をとりました。

 したがって、通常のケースでは法人のお客様への月々のサービス提供は「ノウハウ報酬」と「作業量報酬」を足し合わせたものとご理解頂ければと存じます。お客様の声を聴きながら、分かり易い報酬体系を策定したいと思っておりますが、現状ではこのような形と致しておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。